2013.01.30
ローカーボ食研究会学術集会で糖尿病の症例報告をしました
1月27日の日曜日の午後、名古屋駅前の安保ホールで日本ローカーボ食研究会の第3回学術集会が開催されました。
医師、栄養士、看護師など、合わせて70名程度の参加者があり、盛会となりました。参加者は回を追うごとに増えており、また低炭水化物の食品を販売する協賛業者の数も増加傾向で、糖質制限(低炭水化物)食に対する関心の高まりを実感しました。
冒頭で、名古屋大学理学部名誉教授の加藤 潔先生が「生命の進化における炭水化物の意義」というテーマで講演されました。先生は、炭水化物の代謝の過程でできる様々な物質から脂質、蛋白質が作られることを明らかにされ、炭水化物の代謝経路が人間の代謝の根幹を成していることを強調されました。
灰本クリニックの灰本先生は、極端な糖質制限は総死亡、ガンによる死亡、心血管死を増やすので危険であることを改めて強調されました。そのうえで、糖尿病の重症度(すなわちHbA1cの値)によって糖質制限の程度を決定するのが合理的であり、大半の患者さんは、1日1食の炭水化物を抜く程度のマイルドな糖質制限で十分に治療が可能であると述べられました。
私は、肥満のある糖尿病の症例を2例報告しました。1例は糖質制限(ローカーボ)食で順調に体重が減少し、HbA1cも低下した症例、もう1例は十分に糖質制限ができているにもかかわらず、肥満が改善せず、HbA1cはむしろ上昇してしまった症例です。2番目の例は、アルコールの過剰な摂取が治療の妨げとなっていました。極端な糖質制限を推進している人たちは、「蒸留酒ならいくら飲んでも大丈夫」と喧伝していますが、この症例はそれが間違いであることを証明しています。
今回の学術集会では、最近ともすると悪者扱いされがちな炭水化物が、実は生体の代謝の根幹を成す必須の栄養素であることが明らかになりました。一方、炭水化物の過剰摂取は糖尿病・肥満を悪化させることも事実です。今後のローカーボ(糖質制限)食の課題は、炭水化物をやみくもに減らすのではなく、それぞれの患者さんに適切な炭水化物摂取量をいかに設定していくかにあると感じました。
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